君への愛は嘘で紡ぐ
すっかり目が覚めて、体を起こす。


「ごめんって、なにが?」


日が暮れた部屋は、電気をつけないと何も見えないくらい暗くなっていた。
ベッドから降りると、電気のスイッチを押す。


「小野寺さんたちに、病気のことバレたかも」
「……は?」


汐里さんの言葉を、冷静に考える。


小野寺さん。
つまり、お嬢様か。


バレたって、なにが?
病気?
それは、俺の?


「なんで?」
「今日、小野寺さんがなんで玲生くんが学校に来ないの?って聞きに来て、いつも通り、希実さんのお見舞いってことにしたんだけど……」


それは、俺が頼んだことだった。
俺の休む理由聞いてくる人はいないだろうけど、病院で俺を見かける人はいるかもしれない。


だから、もし聞かれたらそういうことにしておいてほしい、つまり、病気のことは黙っておいてほしいと。


頼んだはずなのに。


「高校に通うことが玲生くんの夢だったって話したら、いろいろあって、玲生くんは病気なの?って」


そのいろいろが聞きたい。


「私……違うって言えなかった」


いや、言えよ。


「……なんで?嘘つくのが嫌だったとか言わないよね?」


母さんが入院しているってことは間違いなく嘘だから、その理由はありえないだろうけど。
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