君への愛は嘘で紡ぐ
「うん、違う……玲生くんが病気じゃないって言うのは、私がそう思い込みたいってことなんじゃないかって……」


それを聞くと、汐里さんのことを責められなくなった。


病気じゃないなんて、俺だって思いたい。
嘘だって。
本当はもっと長く生きられるって。


「そう思ったら、否定できなかった」


何を言っていいのかわからなくなって、ドアに背中を預けて床に座る。


「あ、でも、肯定したわけでもないの。ただ、黙ってただけで……だから、本当にバレたかどうかはわからない」


それを聞いて、汐里さんが最初にバレたかもって言った理由がわかった。


疑われているだけだとわかって、少し安心した。


「俺が病気だって断言してないなら、いいよ」
「怒ってない……?」


電話越しなのに、汐里さんがどういう表情で言っているのか簡単に想像ついた。


それがなんだかおかしくて、今日初めて笑った。


「怒ってない。お嬢様に何か聞かれたら、俺が誤魔化すから」
「それが……小野寺さんだけじゃなくて、小野寺さんと同じクラスの、坂野さんと東雲さんも……」


今度は呆れてため息が出る。


「……報告どうも」


俺は電話を切り、電気を見上げる。


面倒なことになりそうだ。
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