君への愛は嘘で紡ぐ
そしてまたドアを叩く音が聞こえた。


叩いた人と用件がわかっているから、また返事をせずにドアを開ける。


「お嬢様。お風呂の準備ができました。ゆっくり温まってきてください」
「ありがとう」


それから私はお風呂に入り、そのまま眠りについた。





学校に行く途中、偶然由実さんと出会った。


「おはよう、円香ちゃん」
「おはようございます」


家を出るまで気分は落ちていたはずなのに、挨拶を交わしただけで一気に心が晴れる。


「円香ちゃん、本当に笑顔が増えたね。なんだか、私まで嬉しくなっちゃう」


隣を歩く由実さんは、照れ笑いを見せる。


由実さんが笑うと嬉しくなるのは、私も同じだ。
由実さんだけではない。
瑞希さんも、笠木さんも。


私は本当に、彼女たちといられるこの場が、この時間が好きだ。


「私も、嬉しい」


すると、由実さんは立ち止まった。
それにつられるように、私も足を止める。


由実さんは私の手を取った。


「円香ちゃん、今敬語じゃなかった!」


無意識だった。
少し前までなら怒られていたのに、今ではこれほど喜んでもらえるとは、不思議なものだ。


「やっぱり、敬語じゃないほうが距離がないような感じがするから、いいよね」
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