結婚してみませんか?
そっか、恋ちゃんより早く布団に入ってさっさと寝てしまえばいいんだ。

我ながら名案を思いつき、飲み直していたビールを一気に飲み干して、(ふすま)を開けた。

暗い部屋に並んだ布団…予想通り。

よし、寝よう。

いや、その前に少し布団を離したほうがいいかな、と布団を前に考え込んでいる時…

「…さん、智章さん。」

ふと我にかえると、いつのまにか目の前に恋ちゃんがいる。ボーっとしていた俺に声をかけていたみたいだ。でもそれに気づかずビックリして思わずうわっと声を上げ、その拍子に体勢を崩してしまい、目の前にいた恋ちゃんにしがみついてしまった。

もちろん、突然の事で俺を支えきれなかった恋ちゃんもバランスを崩して、結局2人して布団に倒れ込んでしまった。

「ごめん。恋ちゃん大丈夫?」

「…はい、大丈夫です。」

怪我がなくて良かった、と思うと同時に現状を把握した。

今、俺は恋ちゃんを押し倒しているような体勢だ。腕を伸ばして覆い被さらないようにしているが、俺のすぐ下には恋ちゃんがいる。

ヤバイ、すぐに退かなきゃ…と頭では分かっているけど、身体が動かない。

倒れた拍子に浴衣がはだけて、白い肌が(あら)わになっている恋ちゃんから目が離せないのだ。

どうするか…

よく見ると、恋ちゃんの口が動いている。口パク?それとも何か喋ってる?

俺は言葉を聞き取ろうと恋ちゃんの口に耳を近づけた。

次の瞬間、まさかの出来事が起きた。

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