揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
「はい、OK!お疲れさまでしたー!」
今日一日の撮影が全て終了しスタッフたちにも安堵の笑みが。
予定より前倒しで終わった分、気分が良い。
「レイ…!」
後ろから誰かに呼ばれて振り向くとそこにはGLEAMSの優吾が立っていた。
え、1人?いつ日本に!?
聞きたいことは頭に浮かんだけどそれより早く駆け寄って来て抱きしめられた。
「ちょっと…優吾!?」
待って…!まだ皆居るから…!
ガン見だから…!
本当自分のことしか考えてないところは変わってない…!
「会いたかったよ〜レイ…!」
そう言ってキスしようとするところは全力で阻止する。
「バ〜カ〜ヤロウ…!」と顔に手をついて拒んだらケタケタ笑ってる。
「ただいま…!」
「お…かえり」
「っつーことで、レイをちょこっとだけ借りまーす!」
「はっ!?」
スタッフに向かってそう言ったかと思えばもうすでに私の手を引き歩き出してる。
ちょっと…!一体何なの!?
まさか、またワゴンに乗せられる!?
冗談じゃない…!!
関係者専用駐車場の通路に差し掛かる直前で手を振り解いた。
「優吾…!やめて?」
「やっと会えたんだ、やめない」
こっちの事情なんてこれっぽっちも考えず無理やり壁に押し倒してからのキス………
抵抗しても力では適うはずもなく……
唇が離れる頃には、心とは別の体が反応してしまっていた。
「その顔最高……俺やっぱレイじゃないと無理だわ」
なんて……欲望に満ちた瞳………
久しぶりに見る優吾だけど
こんな眼力あったっけ…?
鍛えられた逞しい腕の中に居て
押さえられた腕に絡む指。
そして、何度目かのキスに溺れる。
幸いこの時間帯は誰も通らなくて助かった。
私たちが居る場所も真っすぐ続く通路からは見えない曲がり角。
誰かが来れば足音ですぐに分かる。