揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
「明日はどこで撮影?」
「え?えっと…〇〇スタジオ」
「少しでいいから俺との時間作ってください」
「え…!?」
マネージャーが呼びに来てその日は素直に帰ることにした。
翌日、キャップ帽をかぶって〇〇スタジオに入る。
今日はファッション誌の撮影とあって華やかなスタジオセットになっていた。
現場の指揮を取り中心となって動いているレイさんをすぐに見つけ出す。
白のフレア袖ブラウスにウエストリボンが可愛いベージュのパンツ。
どこからどう見ても輝いている。
好きだな、仕事に一生懸命な女性って。
本当は正面から見たい。
真横でも。
一眼レフを手にした時のあの瞳を
もう一度間近で感じたいよ。
振り向いて欲しい。
本当は………
昨日のキスが頭から離れない………
「あれ?」
出入り口付近に立ってたら見覚えのある子に声をかけられた。
あ、昨日居たアシスタントの人だ。
キャップ帽を深くかぶり「どうも…」と挨拶する。
「レイさんですか?声かけましょうか?」
「いや、いいです…!」
勝手に来たわけだし、仕事中だし。
見れただけで充分っつーか。
だからニヤニヤ見ないで。
「もうすぐ休憩入るはずですからゆっくり見て行ってくださいね」
「あ、ありがとうございます」
スタイリストさんと打ち合わせしながらいくつかの服を選んでる。
大きめのピアスが揺れて笑う口元はピンクのルージュ。
ひとつひとつの仕草に見惚れてしまうんだよなぁ。
振り返り別の子に指示を出した後。
バチッと視線が重なって動きが止まった。
あ……気付かれた。
スタイリストさんに声をかけてこっちに向かって来る。