揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
皆が力説してくれるのを気持ち良く聞いてたけど、途中から記憶がない。
「相模原さーん、大丈夫ですか?」
いつの間にか俺はテーブルに伏せて寝ていたらしい。
潰れたと勘違いしたマネージャーが慌ててタクシーを手配し始める。
コツンと近くでグラスを置く音がして顔を上げた。
「大丈夫?」と優しく声をかけてくれたのは間違いなくレイさんで、水を持って来てくれた。
やっと隣に座ってくれたのにもうお開きなんて悲し過ぎる。
あれ?皆が居ない。
「もう帰らせたよ?あの子たちよく喋るから聞くのに大変そうだったね、ごめんね」って謝らなくていいから。
そんなことより今は早く……
腕を掴んだら……
触れてしまったらもう……
ひと目をはばからず抱き寄せた。
って誰かに見られてるわけじゃないけど。
個室で助かった。
そんなこと言ってる場合じゃなくて…!
「これは…酔った勢いじゃないです。俺、酒は強いんで。ちゃんと記憶あるから」
「そっか……」
え…?それだけ…?
リアクションそれだけ!?
言葉を期待していた俺は余裕なんてものはなく、瞳が合えばすぐに体が反応してしまう。
触れるだけのキス。
「ずっとこうしたかった……あなたに触れたかった」
突然こんなことした俺に動揺などしていない。
「そっか……よく耐えて撮影頑張ってたもんね」
優しく背中をさすってくれるから、甘えてしまう俺は手を握り「帰りたくない」と迫る。
「今日は帰りなさい。マネージャーさんタクシー呼びに行ってるから」
急に年上ぶる態度。
何もかも見透かされてる気がした。