揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
「いい?よく聞いて?この一瞬の過ちがGLEAMSの未来を閉ざすことだって有り得るの……優吾一人の問題じゃなくなるんだよ?」
「そんなの…っ」
「関係なくない…!お願いだから自覚して?もう世界でも通用する人間なんだって……出来ればもっと高みを目指して欲しいし、それが実現出来るバンドなんだよ」
「レイ……そんなこと言うなよ」
泣きそうになる。
そう突き放しておいて抱きしめてくるとか反則だよ……
「大好きだよ……優吾。誰よりも応援してるよ…」
「え……このまま終わりとかじゃないよな…?まだ専属で居てくれるんだよな…?」
再び目が合って
「えっと、どうしようかな?」っておどけてみせる。
それって俺が悲しまないように精一杯明るくしてんのか…?
「じゃあ俺の最初で最後のお願い聞いて?聞いてくれたらこれ以上はレイを悲しませない、約束する」
「なに…?」
お前と離れて心に決めていたことがある。
結局はその野望があったからこそ今まで頑張ってこれたのかもな。
それと、最後に言ってくれた
「誰もが認めるプロのミュージシャンだから」という言葉がいつも支えになってたんだ。
白を基調とした空間に天蓋のついたベットがポツリ。
白のオフショルドレスに身を纏い、ベールに包まれた女神像。
追いかけても追いかけても手が届かなくて、掴んだと思っても消えてなくなる。
まるで記憶の中に迷い込んだかのような世界観。
フワフワとした世界で逢えないまま涙する。
ベットに横たわる男の前にやっと現れた女神。
次こそは……この手に触れて。
ようやく触れ合えた瞬間。
天蓋のベールに隠れて見えない横顔。
優しく唇が重なる………