揺れる被写体〜もっと強く愛して〜




「あ、南城さん?次のシーンなんだけど……」




「わかりました、準備しておきます」




撮影が進むにつれて良い連携が出来てきたと思う。
取っ付きにくそうと思ってた部分は仕事を通していつの間にか薄れてた。
“若いのにしっかりしてる”
そう言ってた意味がようやく理解出来た気がする。




確かに、よく気が利く…と思う。
相変わらず無表情ではあるが彼女が動くことで周りが笑顔になってる。
不思議なパワー持ってんだよなぁ。




「お疲れさまー」




よし、帰りに自販機でコーヒーでも買って行くか。
財布を出し小銭を入れていく。
あれ?あと10円足りない。
ポケットにも入ってない。
クソ、万札しかねぇじゃねぇか。




仕方ない、コンビニ寄るか…と返却レバーを引こうとした瞬間。
隣から誰かがお金を入れてきた。
顔を向けるとそこにはさっきまで一緒に仕事をしていた南城 美麗の姿が。




あまりにも近くに立っているから正直ドキッとした。
この距離での上目遣いはヤバいだろ。




「いつものコーヒーですか?」




「えっ…?」




ポチッとボタンを押して出て来たコーヒー。
まさに今、俺が買おうとしていたもの。
「ハイ、どうぞ」って手渡してくれる。




「あ、金……」




「いいですよ、10円くらい」




「いや、ダメだ!」




「え〜面倒くさい……」




「こういうのはだな、ちゃんとしとかないと…」




「じゃあ……」と缶コーヒーをプシュッと開けて一口飲んだ。
え……マジか。
「ハイ、あげる」って唖然……
い、今……口つけたよね?






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