揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
あまり深入りしないでおこうと勝手に決めつけて、仕事だからと割り切って接しているつもりだった。
たまにまた、あの瞳に動揺してしまう時があるけど。
彼女が仕上げると確かに写真も映える。
当たる照明すらも計算してメイクを施しているんじゃないかとさえ思えてしまう。
モデル自体、元々綺麗なんだろうけどスッピンを知ってるだけに彼女の技術力は秀逸だ。
「あ〜私も美麗ちゃんみたいな顔に生まれたかったわ」
メイク直ししてる最中にモデルが彼女に向かって言った。
「え、大変ですよ?この顔…」
「えっ?どう大変なの?整いすぎてるじゃない、スッピンも変わらないでしょ?」
レンズ交換しながら耳だけはそっちに集中してしまう。
何が大変なのか俺も気になる。
モデルが言うようにものすごく恵まれた顔立ちだから。
正直、カメラマンとして彼女を被写体にしたい気持ちが強い。
「喜怒哀楽が苦手なんで。色んな人に何考えてるかわかんないってよく言われます」
………納得。
「いや、モデルやってみたら?素質ありまくりだよ?笑わなくてもクールな撮り方だってあるんだし。ねぇ?上川さん!」
急に話フラれてびっくりしたけど、
ヘアメイクしながらチラ見した彼女と目が合う。
「お、おぉ……そうだね」と歯切れの悪い返事。
「いや、いいです。ていうか撮られるよりかは撮ってみたい…ですね」
「え〜勿体無い、絶対モデルタイプなのにな〜結構モテるでしょう?」
「モテ……ますね」
「キャハハ…!正直なところめっちゃ好きだわ〜美麗ちゃん最高!」
「……どうも。仕上がりました」