揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
「大丈夫だよ、俺を誰だと思ってんの?例え骨折してたって責任持ってプロの仕事はするよ」
心配かけちゃいけないと平然を装ったのに。
湿布を貼った手を頬に寄せて
「私が大丈夫じゃない……胸が張り裂けそう……」って声を震わせる。
ドクン…!と波打った心臓はもう、
言うことを聞かない。
1ミリも逸らせない視線。
一瞬にして瞳が揺らいでく。
あ……泣くなよ……
触れてる頬がジンと熱い。
「私……上川さんの撮る写真好きだから…それ見れなくなるのヤダ…っ」
揺らいだ瞳からこぼれ落ちる前に…
心より先に本能で動いてしまう。
体が前に出た。
抑えきれなくて……
俺の方から、キスをした。
触れた唇から徐々に伝わる体温。
真っ白なキミが胸いっぱい広がって
誤魔化すのはもう無理なんだと思い知った。
あんな顔見たらもう無理だよ……
椅子にそのまま押し倒しそうになった時。
湿布薬がバサッとテーブルの上から床に落ちた。
唇が離れてハッと我に返る。
とっさに体を起こす。
「ごめん…っ」
直視出来ないから顔を伏せた。
理性が飛んでしまった自分自身が情けなくて説明がつかない。
俺は……何て事を………
細く柔らかな手が俺の頬を包み込む。
再び視線が重なって……
「やめないで…」と二度目は彼女の方からキスしてきた。
受け止めるのにいっぱいいっぱいなほど深いキスに酔いしれる。
濡れた睫毛が色っぽい。
瞬きさえ愛おしくて……