揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
恐る恐る視線を合わす。
でも見続けるのは無理。
この距離でこの状況は拷問だ。
分かってくれよ………
「私、上川さんに誤解されるのだけは耐えれないかも…」
「え……?」
「でもその度にこうして誤解解いていくから」
「こうしてって……」
もう一度ギュッと手を握って
「こうして」って笑顔で言う。
「わっ、頼むから…もう勘弁して…!」
理性を保つ為に勢いよく振りほどいてしまった。
その時、後ろに立てていた三脚に俺の手が当たってそのまま倒れかける。
反射的に体が動いて何とかカメラを守ろうと手を伸ばす。
同じように細い腕も伸びてきて、彼女と一緒になって三脚ごと倒れてしまった。
「だ、大丈夫!?」
カメラなんかよりとっさに彼女の体をかばってた俺は体を起こす。
その彼女の手はカメラを守ってくれてて……起き上がった瞬間。
「上川さん!カメラ守らないと…!撮影出来なくなるじゃないですか…!」
「あぁ……ごめん、イテ…っ」
かばった拍子に手首を痛めてしまったみたいだ。
「大丈夫ですか?すみません、私のせいで…」
「大丈夫だよ、大したことないから」
でもやっぱり触られるとズキズキ痛む。
「痛がってるじゃないですか、とにかく来て」とスタジオの外に連れ出された。
慣れた様子で医務室に入り湿布を探してる。
冷たい湿布がスーッと痛みを和らげていく気がした。
「ありがとう」
「明日の撮影、支障出たらごめんなさい…」