想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
パラ、と資料をめくる。手が止まった。
一枚の付箋が貼り付けてあった。
『お話ししたいことがあるので、今日11時に屋上に来てもらえませんか。 小林直斗』

なんだろう、というのが正直な気持ちだった。直斗さんはわたしになんの話をしたいんだろう?
今さら告白、のわけはない。じゃあなんだろう? 仕事のこと?
いくら考えてもさっぱり分からなくて、だからこそ無視することも拒むこともできなくなる。

結局わたしは、迷いながらも11時すこし前に屋上に向かった。気づけば直斗さんの姿は、すでにフロアに見当たらなかった。

気候のいい時季には、社員の休憩の場になっている屋上。師走ともなると人の気配はなかった。冷気がピリリと肌を刺す。
うーさむさむ、と両手で体をさすりながら、直斗さんの姿を探す。

と、昇降口からすらりとした人影があらわれた。
近づいてくる直斗さんは両の手になにか小さいものを握っている。
< 123 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop