想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
《実家》という表示に、あわてて通話のアイコンをタップする。

「もしもし?」

『あ、もしもし、美織?』
お母さんの声だった。

「お母さん、どうしたの?」
ふだんはそんなに連絡をしてくることのない母だ。

『うん…あのね、美織ちゃん、なにか悩んでるんじゃないかと思って』

「なんで…分かったの?」
態度には出してないはずなのに。

『分かるわよ、あなたのことだもの』

「うん…」
心配して電話をかけてきてくれた、お母さんの声がスマホ越しに温かく伝わってくる。

『いつもだったら、お菓子作ろうか、クッキーがいい、やっぱりシフォンケーキ、とか言い出すのに。心ここにあらずみたいに、ときどきぼんやりしてたから。なにかあったのかしらって』

そうか、そういえばお菓子作り、忘れてた…

『べつに無理して話さなくてもいいけど。美織ちゃん、これだけ言っておきたくて。
お父さんとお母さんのことは気にしなくていいからね。自分の気持ちに正直にね』

「うん、ありがとう」
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