想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
———イーストっていうのは生きてるの。これが生地に魔法をかけて、ふくらませたり美味しくしたりするのよ。イーストがないとね、卵も小麦粉もバターも、焼いたらぺたんこでガチガチになっちゃうの。
母の声が耳元によみがえってくる。
イーストは、どうみてもざらっとした粉で、生き物だというのが幼心には不思議だった。
———生地に加えることで、変化を起こすの。難しい言葉で触媒っていうんだけど。
「触媒、か」
混ぜながらつぶやく。有名なパティスリーで紹介されるこだわりの材料というと卵だったりバターだったり。酵母も地味だけど大事なのにな…
なにかが———心に引っかかる。なんだろう。手が止まる。
隠し絵を見つめるように、自分のうちに目をこらす。わたしはいま、大切ななにかに気がついた。
———美織といると新しい視点が生まれる、違う地平が見えてくるんだ
「圭介さん!」
わたしははっきりと、そのひとの名を呼んでいた。
母の声が耳元によみがえってくる。
イーストは、どうみてもざらっとした粉で、生き物だというのが幼心には不思議だった。
———生地に加えることで、変化を起こすの。難しい言葉で触媒っていうんだけど。
「触媒、か」
混ぜながらつぶやく。有名なパティスリーで紹介されるこだわりの材料というと卵だったりバターだったり。酵母も地味だけど大事なのにな…
なにかが———心に引っかかる。なんだろう。手が止まる。
隠し絵を見つめるように、自分のうちに目をこらす。わたしはいま、大切ななにかに気がついた。
———美織といると新しい視点が生まれる、違う地平が見えてくるんだ
「圭介さん!」
わたしははっきりと、そのひとの名を呼んでいた。