想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
そんななかでの佐倉さんからの週末の一泊旅行の提案は、とびあがるほど嬉しかった。

『遠出すると慌ただしくなるから、都内にいいところがあるんだ』

わあ、どこだろう。
ふくらむ気持ちを詰めこむように、スーツケースを取り出して旅支度をする。
金曜日の夜、仕事帰りに駅のロッカーに預けていた荷物を取り出して、佐倉さんのマンションに向かった。
その晩はマンションに泊まって、土曜日の午前中にハイヤーで彼と向かった先は神楽坂だった。
表通りで下りて路地を奥へと入ってゆく。かつての花街の面影をしのばせる数寄屋造と石畳の風景のなかを歩いていると、日常をはなれ違う世界に迷いこんでしまった感覚におちいる。

今日の服装は細身の黒のパンツに、同じく黒のパンプス。それに短め丈の明るいベージュのトレンチコートを合わせた。紅のリップをポイントカラーに、大人っぽさを意識した。
出がけに佐倉さんが「色のバランスがいいね。口紅が映える」とかるくキスしてくれた。素敵な旅の始まりだった。
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