切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
ガイドブックも買ってノワールで眺めていたら、晴人が雑誌を覗き込んだ。
『あれ?玲司さん、ゴールデンウィークに東北行くんですか?』
『その予定』
澄まし顔で返せば、こいつはガシッと俺の腕を掴んだ。
『玲司さん、俺も連れて行って……!?』
『却下』
晴人が言い終わる前に冷たく断ると、彼はブスッとした表情で文句を言った。
『えー、ケチ』
『連休もお前の相手するのはゴメンだ』
顔をしかめれば、晴人は突っ込んで聞いてきた。
『だったら、誰の相手するんですか?』
『さあ。お前でないことは確か』
無表情で答えるが、鋭い彼はピンときたようで……。
『あ~、美月ちゃんですね。へえ、珍しいなあ。女のために玲司さんが旅行先の研究をするなんて』
ニヤニヤしながら俺に顔を近づける晴人の額をペシッと叩いた。
『お前、うざい』
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