切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
玲司さんの声でハッと我に返り、腕時計を見た。
時刻は午前八時二十一分。
「わ~、本当だ。行かなきゃ。あっ、でも片付け……」
席を立ってあたふたしている私の頭に玲司さんがポンと手を置く。
「片付けは俺がやっとく。今日は晴人はいないかもしれないから、仕事終わったら、俺に連絡して」
「はい、行ってきます!」
リビングのソファの上に置いておいたバッグを肩にかけて玄関に向かおうとすると、彼に呼び止められた。
「美月、忘れ物」
忘れ物?何を忘れたんだろう?
振り返る私の唇に玲司さんがチュッと口付ける。
「行ってらっしゃい」
とびきりの笑顔で微笑む彼。
「……行って……きます」
赤面しながら家を出る私。
あー、きゃー、朝から何をするんですか、玲司さん。
新婚さんじゃないんですよ〜。
私と玲司さんの関係って何?
ただの同居人にキスなんてしないよね?
あっ、でも彼に告白はされた。
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