切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
作り笑いを浮かべながらそんな言い訳を口にしたら、渡辺君がスーッと目を細めた。
「お前、最初の歓迎会くらいちゃんと出ろよ。新人の義務だぞ」
うっ、渡辺君、そんな怖い顔しないで。
身体大きいからかなり威圧的に感じるよ。
彼……渡辺樹は、総務部期待の新人で二十三歳。
身長百七十八センチ、髪は短髪で日に焼けて赤茶色。大学時代にハンドボール部のキャプテンをだったこともあり、礼儀にうるさく、新人の中でもリーダー的存在。
先輩よりも的確に要領の悪い同期をフォローする。
でも、私はそんな彼が苦手だ。
面倒見がいいのは認めるけど、直接仕事に関係のないことにまで口を出されたくない。
「用事があるから無理なの〜!」
渡辺君から視線を逸し、数歩後ずさると、彼になにか言われる前に逃げるようにオフィスを飛び出した。
ちゃんと歓迎会の幹事の人には欠席と伝えてある。
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