切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
目を擦擦りながら言うが、左手に何か違和感を覚えた。
何か目に当たった。
ん?何?
不思議に思って左手を見たら、薬指に見たこともないダイヤの指輪がキラリと光っている。
「……これ?なに?」
指輪をはめた本人に尋ねると、いつの間にかソファに腰掛けていた彼は楽しそうに頬を緩めた。
「指輪」
「それは見てわかるけど……どうして?」
戸惑いながら聞き直すと、玲司さんは今度はちゃんと理由を説明した。
「俺のって印をつけておきたくて。返品はなしだよ。俺の指にははめられないから」
茶目っ気たっぷりに微笑む玲司さんに「いつ買ったの?」と尋ねたら、彼は「今日」と短く返した。
「え?今日?でも、今日は接待があったんじゃあ?」
「宝石店に行く時間がなかったからね。会社に外商呼んで、指輪を持ってきてもらったわけ。サイズもいろいろ用意してもらってね」
外商使う人ってお金持ちかと思った……って、玲司さん、御曹司だった。
< 282 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop