切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「でも、どうして急に買おうと思ったの?誕生日でもクリスマスでもないのに」
「美月の同期が手を出そうとしたから、魔除けにね。それに、これは結婚の約束でもある」
彼が真摯な目で私をじっと見つめる。
その眼差しにドキッとした。
「……結婚の約束」
突然のプロポーズに思考がついていかない。
「いつかちゃんとプロポーズするけど、その薬指は予約済みだから指輪をずっとつけていること」
わざと厳しい口調で命じるが、その目はとびきり甘い。
胸がじわじわと熱くなって、涙が込み上げてきた。
これは夢じゃないんだよね?
家族の問題があるからずっと私は結婚なんか出来ないって思っていた。
恋愛からも逃げていた。
でも、玲司さんに出会って私は恋も知って……両思いにもなれて……。
なんだか幸せで胸がいっぱいだ。
「……はい」
彼に返事をするとスーッと涙が頬を伝う。
「もう俺の婚約者だから、朝は俺と一緒に出勤してもらうよ」
私の頬の涙を指で拭うと、彼は有無を言わせぬ笑顔で告げた。
その顔を見て昨日の朝の玲司さんとのやり取りを思い出す。
『ちゃんとした関係ならいいんだよね?』と彼は言った。
この指輪は魔除けというより、私との関係をきちんとしておきたかったんだと思う。
それだけ彼に大事にされているんだと実感した。
私との仲を公表する覚悟が彼にある。
だったら、私もこそこそせず、彼の隣にいよう。
私は、私らしくあればいい。
彼が一緒なら、何があっても乗り越えていける。
「うん。指輪、ありがとう。大切にするね。アクセサリーもらったのこれで二度目だよ」
玲司さんの目を見つめながら言うと、彼はなぜかちょっと顔を引きつらせた。

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