切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「二度目? 初めてもらったのは誰?」
「お父さん。昔お祭りでね、指輪を買ってくれたの。でも、今はどこに行ったのかわからなくなっちゃったけど」
私の話を聞いて、彼は優しい目をして自分の胸に手を当てた。
「そうか。でも、大事な思い出はここに残ってるよ」
「うん。そうだね」
明るく笑って頷けば、玲司さんがじっと私の目を見つめて、唇を重ねてくる。
胸はドキドキ。
でも、そうするのが今は当然のように、彼との呼吸がピッタリ合って甘い感覚に満たされる。
キスを終わらせると、「好きだよ」と玲司さんは私の頬を撫でながら告げた。
「私も」とはにかみながら伝えれば、彼は至極残念そうに言う。
「このままベッドに行きたいところだけど、実は今日の会食、あんまり食べてなくて、腹減ってて……。サラミとかあったかなあ」
お腹を押さえながら、ソファから立ち上がりキッチンに向かう彼。
「サラミじゃ夕飯にならないよ。お茶漬けでいい? 作っておくからシャワー浴びてきたら?」
玲司さんの腕を掴んでそう提案すれば、彼はにっこり微笑んだ。
「そうさせてもらう」
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