彼女になれない彼女
花火大会
24日。
気が進まないまま、この日を迎えてしまった。
花火大会だ。

田尻くんと会うのも、なんだか気が進まない。

どうしよう。
全然、楽しみじゃない。

本当は、平良と行きたい。
無理だけど、平良と行きたい。

身支度をしながら、鏡の前で哀しそうな自分の顔に気付く。

何をするのも、全然楽しくないよ。

今日は1日中憂鬱だった。
昨日、平良が店を出て行った後から、ずっと心が重い。

18時半に駅でみんなと待ち合わせだ。

ダラダラしているとあっという間に夕方になっていた。
焦るように準備をする。

行きたくないなあ。

結局気持ちが戻ってしまっていた。

ママが洗面所の前を通った。

「あ、花火大会?」
「うん。」
「平良くんと行ってくるの?」

ママって、なんで一番言って欲しくないことを言うのかなあ。

「違う。塾のみんなと。」

私の声が怒っているのが分かる。

「へえ〜。そうなんだあ〜。」

そう言ってママは洗面所を離れた。

あっという間に18時になった。
そろそろ家を出ないと。

足が重い。

「行ってきまーす。」

パパとママに言う。
私のテンションの低さに、少し不思議そうな顔をしている。

「気をつけてねー。」
「行ってらっしゃい。」

2人の声を聞いて、私は家を出た。

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