期間限定『ウソ恋ごっこ』
さすがに新入生が、生徒会副会長をパシリに使っちゃまずいって。


先輩にはツンケンしてた真央ちゃんだけど、あたしが頼むとしぶしぶ納得してくれた。


「しかたない。美空がそう言うならあたしが行くよ。急いで探してくるから待っててね」


「うん。ありがとう真央ちゃん。待ってる」


あたしにニコッと笑いかけて、小走りで出入り口に向った真央ちゃんが急にピタリと立ち止まり、こちらを向いた。


あたしに見せた笑顔とは似ても似つかない剣呑(けんのん)な目をして近藤先輩に話しかける。


「ちょっと、安藤先輩」


「あのなぁ。お前、いいかげんにしろ」


「近藤先輩。あたしがいない間に美空にちょっかい出したら、絶対に許しませんからね?」


「はあ? なんだそりゃ」


「いいですね? わかりましたね? ちゃんと忠告しましたからね?」


ドスの効いた低い声と、ヤンキー顔負けの凄みのある表情で何度も念を押してから、真央ちゃんが保健室から出ていった。
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