高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
「この調子で来月もまた頑張ってくれよ!」

「はい、ありがとうございます。

それでは、私はこの辺で…」

「おう、頑張ってこいよ!」

ペコリと会釈をすると、私はエントランスを後にした。

あー、乗り越えた…。

部長、話が長いから困るんだよね…。

心の中で息を吐きながら、私はオフィス街を歩いた。

カツカツとヒールの音を立てながら歩いているその姿は、どこからどう見ても“デキる女”だ。

うん、我ながら上手に仮面をかぶれているな。

本当は事務職を希望していたのに、どう言う訳なのか配属されたところは営業職だった。

無理です向いてないですって、上司にはっきりと訴えましたよ。

「最初はみんな、そう言うんだよ。

君もそのうちなれるから」

そんな私の訴えは、見事に笑いながら一蹴されてしまった。
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