高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
まあ、家と外の顔を切り替えることで何とかなっている…と言う訳です、はい。

「ただいま、戻りましたー」

「お帰りなさーい」

オフィスに戻ってデスクに腰を下ろしたら、
「花沢さん」

私を呼んだその声に顔をあげると、ゲッ…!と口から出そうになった。

「はい、何でしょうか?」

そう言った私に、
「『高崎エージェンシー』さんから週明けの月曜日に修正をお願いしますとの連絡が」

彼は私に書類を差し出した。

「はい、ありがとうございます」

私が書類を受け取ったことを確認すると、
「後、これもどうぞ」

彼はそう言って私の手のうえに個装されたあめ玉を3つ置いた。

「お寒い中、ご苦労様でした。

よろしかったらどうぞ」

彼はそう言うと、手を振りながら私の前から立ち去ったのだった。
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