高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
「はい、メニューです」

西口くんが私にメニュー表を差し出してきた。

「西口くんは見なくてもいいんですか?」

そう聞いた私に、
「いつも頼むものがあるんで」

西口くんは答えた。

スマートにそう言ったところをみると、本当にここによくきているんだなと思った。

「後…」

「はい?」

西口くんは私の顔を覗き込むと、
「敬語とか“西口くん”って呼ぶのは、なしにしませんか?」
と、言った。

「えっ、何で…」

西口くんは西口くんじゃないのよ。

そう思っていたら、
「練習なんですから、俺のことは名前で呼んでください」
と、西口くんが言った。

「な、名前…」

「知らないってことは、ないですよね?」

もちろん、知っていますけど…。
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