あなどれないね、世唯くん。



***


そして作業は寿々のちょっかいが入りながらも今日の分は無事に終えることができた。


帰りは基本的にいつも1人。
寿々は方向が違うし、真尋くんは送ってくれると行ってくれたけど、帰るほう逆だし悪いと思って断った。


もう気づけば10月に入っているので、夏の頃に比べたら日がだいぶ短くなった。


学校を出てから最寄りの駅まで徒歩10分。

大きな交差点があるところまでようやく着いて、信号を待とうとしたとき。


道の端っこでうずくまっている制服姿の女の子を見つけた。

白の清潔感のあるセーラー服。
たしか……ここら辺では有名なお嬢様学校の制服だ。

お金持ちで、そのうえ頭がよくないと入れないとか。


「あの、大丈夫ですか?」

素通りすることもできないので、肩を軽くトントンと叩いて声をかけた。


すると、パッと顔を上げてこちらを見た。


「あっ、……大丈夫……。
少しだけ気分が悪くなっちゃって」

< 131 / 339 >

この作品をシェア

pagetop