あなどれないね、世唯くん。



それでそのときベッドに寝ていた1人の男の子がいたような気がする。

わたしも体調が悪かったせいで、あまりしっかりとは覚えていないけど、ぼんやり思い出してきた。


「あの男の子……真尋くん……だったの?」

「……思い出した?」


「う、うん……。なんとなく…だけど」


たしか会話もしたような気がするけれど、そこまで細かくは思い出せなかった。


「あの時さ、意識ぼんやりしてる中でも誰か来たのがわかったんだよ。

花町が独り言で、うぅ〜頭痛い〜ってうなりながらベッドのほう来てたから」


あぁ…たぶん養護教諭の先生いないし、他に誰もいないから、言葉に出してもいいやとか思っていたのかもしれない。


「たぶん体調悪いんだろうなって思ったけど。それでそのまま閉めてたカーテン開けてきてさ。

寝てる俺の姿見て、うぅぅ……ベッド空いてない、倒れそう……とか花町が死にそうな声で言ってんの聞こえたから」


「えっ、あっ……そんなことを……」

< 209 / 339 >

この作品をシェア

pagetop