あなどれないね、世唯くん。
それでそのときベッドに寝ていた1人の男の子がいたような気がする。
わたしも体調が悪かったせいで、あまりしっかりとは覚えていないけど、ぼんやり思い出してきた。
「あの男の子……真尋くん……だったの?」
「……思い出した?」
「う、うん……。なんとなく…だけど」
たしか会話もしたような気がするけれど、そこまで細かくは思い出せなかった。
「あの時さ、意識ぼんやりしてる中でも誰か来たのがわかったんだよ。
花町が独り言で、うぅ〜頭痛い〜ってうなりながらベッドのほう来てたから」
あぁ…たぶん養護教諭の先生いないし、他に誰もいないから、言葉に出してもいいやとか思っていたのかもしれない。
「たぶん体調悪いんだろうなって思ったけど。それでそのまま閉めてたカーテン開けてきてさ。
寝てる俺の姿見て、うぅぅ……ベッド空いてない、倒れそう……とか花町が死にそうな声で言ってんの聞こえたから」
「えっ、あっ……そんなことを……」