あなどれないね、世唯くん。
「顔こそ見えなかったけど、声からして女子だろうから、ベッド譲ってあげねーとって思って俺話しかけたんだけど覚えてない?」
「お、覚えてない…かな」
もうその時、痛みがピークに来てたような気がする。
「……そっか。俺、お前にベッド譲るって言ったんだよ。声からして相当つらそうだったからたぶん、そう言えば遠慮なく受け入れると思ったから。
そしたら花町、俺に言ったんだよ。わたしよりあなたのほうが体調悪そうだから大丈夫だよって」
付け加えて、「自分もだるいくせに、無理してるの丸出しだったのに」と言われた。
あまり深くは思い出せないけど、自分より体調が悪いであろう人と代わってもらうなんて申し訳ないし。
「ちょうど養護教諭の先生もいなかったから。つらそうにしてた俺に、花町いろいろやってくれたんだよ。
身体冷やすもの探してくれたり、飲み物とか自販機で冷えたやつ買ってきてくれたり」