あなどれないね、世唯くん。
***
それから1時間して、教室の扉がガラッと開いた。
「あら、花町さん1人?千景くんったらどこに行ったのかしら」
扉を開けたのは千景くんではなく、篠原先生だった。
「まさか逃げたのかしら。午前中はずっと教室にいたのよね?」
「あ、はい。きちんと勉強も教えてくれました」
「ったくもう〜。千景くんなら逃げ出した説あるわね。先生ちょっと探してくるから花町さん先に課題始めててくれる?」
「わ、わかりました」
こうして、1人ポツンと残されてしまった。
なんだ……やっぱり千景くんは帰ってきてくれなかった。
なんだか寂しくなった。
たった数時間一緒に過ごして、話しただけの相手に抱く感情じゃない。
変なの……。
いいもん、千景くんがいなくたって、1人で大丈夫だもん…。
何度も言い聞かせるけど、なんでか胸のあたりが少しもやっとする。