あなどれないね、世唯くん。
こんなの、課題やれば消える…なんて思いながら、シャープペンを握ったとき。
再び教室の扉が開いた。
たぶん、篠原先生が戻ってきたんだと思った。
だからプリントから視線を外さずにいたのに。
「……あー、やっぱ間に合わなかった」
この声を聞いて、あっという間にプリントから視線は外れた。
「ち、かげ……くん」
たぶん無意識に名前を呼んで、おまけにその場から立ち上がってしまった。
「……?どーかした、いきなり立ち上がって」
不思議そうな顔をしながら、わたしのほうに近づいてきて顔を覗き込んできた。
なんだか変……。
千景くんの顔を見たら、聞きたいことぜんぶ口にしたくなる…から。
手が自然と……千景くんのベストの裾に伸びて、キュッと握っていた。
なんでこんなことしてるのか、自分でもよくわかってない。
「この手、なに?」
「っ、」