見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
やっとひとつになれる期待と喜びを抱きながら、避妊具の袋を口で開けようとする彼を見やる。はっとした私は慌てて起き上がり、それを制する。


「待って。……避妊、しないで」


目を見張った周さんは、徐々に真剣な表情になっていく。


「皆から言われたことを気にしているのか」

「……気にしてない、とは言えませんね」

「もしこれで妊娠したら、君がやりたくてもできないことが多くなるだろうし、ふたりの時間もしばらく取れなくなる。それでもいいのか?」


私も最初はそう考えていた。でも今は、好きなことができる自由な時間よりも欲しいものができた。


「……私が今一番欲しいのは、ふたりでこの先もずっと一緒にいられるっていう確信です。周さんがいなければ、きっとなにをしても意味がない」


結婚できなければ、私が抱く夢すべてが消えてしまう。その切実な想いを伝え、胸に引き寄せたブランケットをぎゅっと掴む。


「あなたと、家族を作りたいんです」

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