卑劣恋愛
あたしは部屋のドアを閉めて再びクローゼットを開けた。


武が怯えた表情をこちらへ向けている。


「心配しなくていいよ? あたしは学校へなんか行かない。ずっと、武と一緒にいるからね?」


そう言うと、武は何か言いたそうに身をよじった。


「どうしたの? トイレ? それなら直接しちゃっていいよ? ほら、こっち側にビニール袋を敷いてあげるから、この上でやれば下の毛布も濡れなくて済むでしょう?」


ニコニコとほほ笑むあたしに、武は青ざめて左右に首を振った。


「我儘言わないで? 家のトイレは使えないんだから」


両親が外出した後ならいいけれど、あいにくあたしの家は共働きじゃない。


母親がいつ外出するかわからなかった。


それなのに、武は左右に首を振るばかりだ。


「あたしの前でトイレをするのが恥ずかしいの? それなら大丈夫だよ! あたし、武が寝たきりになったって介護してあげる自信があるから」


そうじゃないと、こんな風に監禁したりしない。

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