卑劣恋愛
あたしは床に寝転んでぼんやりと窓の外を見つめていた。


板の隙間から見える小さな空。


「全部……千恵美を助けるため……?」


「あぁ。俺がお前のことを好きになれば、満足なんだろ? それなら、そう演技すればいいだけだ」


「だけど、ここからはもう出られないよ。ここで、一緒に死ぬんだよ?」


「そうなったとしても、千恵美は外で生き続ける」


武の言葉にあたしは下唇を噛みしめた。


「好きなら、どんな手を使っても一緒にいたいと思うでしょう!?」


上半身を起こし、怒鳴り散らした。


「そう思ってた。でも、それが難しいとわかったから、相手の幸せを願うことにしたんだ」


武の表情は真剣だった。


「自分が不幸せになったとしても……?」


あたしの質問に、武は躊躇なく頷く。


その強さに涙が滲んで来た。
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