卑劣恋愛
あたしと武の関係を知らない生徒なんて、いないはずだ。


そりゃあ武は照れ屋だけれど、それでもあたしたちを見ていればわかるはずだ。


「その勘違いをどうにかしてやりたいんだよ!」


智樹が悲痛な叫び声を上げる。


また、あたしの中でなにかが崩れる音がした。


今までの生活や人間関係が、すべて消えて行くような恐怖を感じる。


「勘違い……?」


「そうだよ。ノドカと武は付き合ってない! ノドカが武に付きまとってるだけだろ!」


智樹の叫びに、あたしはほほ笑んだ。


智樹は一体なにを言ってるの? 


あたしと武が付き合ってない?


そんな冗談、笑おうにも笑えない。


あたしはすぐに智樹を睨み付けていた。
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