卑劣恋愛
「あの人たちは智樹の知り合い？」


「あぁ。兄貴の仲間」


そう聞いてもう1度中を確認してみると、赤色の髪と緑色の髪の2人組が見えた。


赤色の方は髪をツンツンに立ててウニみたい。


緑色の方は髪を肩の下まで伸ばしている。


2人ともさっきから落ち着かない様子で部屋の中を歩き回り、タバコをくわえている。


「お兄さんって、あんな連中と中がいいの？」


「まぁね。高校出てからフラフラしてて、今もなにしてんのかよくわからないんだ」


「自分のお兄さんなのに？」


「月に一回くらいしか家に戻ってこないからね。あ、来たみたいだ」


智樹がそう言った時、奥側のドアが開くのを見た。


男2人が動きを止めてドアを食い入るように見つめる。


そして、ついに千恵美が入って来たのだ。


千恵美はスキップしそうな勢いで部屋に入って来て、2人の男を見ると首を傾げた。
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