卑劣恋愛
「そっか。あたしがあなたたちに抱かれることが智樹の願いってことでいい?」


そう聞かれて、赤毛と緑毛は顔を見合わせている。


ここまで理解しているのに逃げようとしない千恵美に、怪訝そうな顔を向けた。


「まぁ、そういうことだけど」


「そっか。これが、智樹の願いなんだね?」


そう言った千恵美はもう青ざめていなかった。


むしろ嬉しそうにほほ笑み、「智樹があたしを必要としてくれているなんて、嬉しい!」と、はしゃぎ始めたのだ。


その様子を見てあたしは奥歯を噛みしめた。


これは思っていた事態と違う事になりそうだ。


このまま襲われたとしても、千恵美はそれほど傷つかないだろう。


そうなると、明日もまた千恵美が学校へ来ることになってしまう。
< 91 / 262 >

この作品をシェア

pagetop