卑劣恋愛
「まさか、ここまで好かれてるなんて思わなかったな」


智樹も驚いた声で言う。


千恵美は外まで聞こえるような鼻歌を歌いながら、自分から制服に手をかけた。


「おい、お前なにしてんだよ」


その行動には、さすがに男2人もたじろいている。


「これじゃ無理矢理襲ったことにならない。計画は失敗だよ」


あたしは舌打ちをしてそう言い、ドアに背を向けた。


これ以上見ていたって仕方がないと思って帰ろうとしたのだけれど……。


「なにしてんだ!!」


部屋の中に響く声が聞こえてきて、あたしは立ち止まっていた。


慌ててドアの前まで戻り、中を確認した。
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