とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
今の状況も悪くないと思っている。

それにキスをしかけたのも自分からだ。

「きっかけは美里の何気ない言葉だったかもしれない。でも美里は私の親友でしょ? 何も気にすることないよ。それよりも皆に私とまだ友達だったことを隠してくれててありがとうね」

紅茶をいれたら物足りなくなった。クッキーぐらいないかとキッチンを漁ると、おせんべいがでてきて微妙な気持ちになる。

「華怜は優しいし。見た目はお洒落で派手目かもしれないけど、でも中身は違うじゃない。男性がどんなふうかもわかってない。平気だ、優しい、でほだされて騙されちゃうかもしれない」

「あはは。その時は美里が判断して。一矢くんは、美里からしてみれば駄目な人だった?」

難しいなあと笑うけど、美里は笑わなかった。

試しに紅茶と海苔が巻いたおせんべいを出してみたけど反応すらない。

「分からない。でも華怜にはもっと大事にされて慎重にお付き合いして、結婚してほしかったから、一矢くんに幻滅しちゃった」

ポタポタと涙を流す美里は、聖人君子のように清らかで綺麗。

私は、美里と親友になれて誇りに思った。
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