とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
 クラスで一番人気者だった『なんとか カズヤ』。

 苗字も覚えていないけど、他のガキみたいな男子と違って、女の子をからかうことも言わないし、誰かを馬鹿にして笑いものにしたりはしない上に、眉目秀麗、非の打ちどころのない子。

 家も会社を経営しているとかで、庭園のある豪邸に住んでいて、私たちとは大きな壁がありそうな人。

男子からも人望はあり、驕ったところもない人。

なのに、私の席の近くになってから、やたらと髪の毛に触れてくるようになった。

『劉宮の髪って綺麗だな』

 まるで白馬の王子様に言われたかのようにときめいた私は、他の女子の嫉妬が入り混じった視線に気づきながらも優越感を抱いていたのかもしれない。

「結婚する相手ってね、中学の時からお付き合いしていた真琴くんなの」

「同じ中学なの」

「……華怜は小学校も同じだったと思うよ」

「まじ?」

居たっけな。誰だろう。もう中学の同級生なんて同窓会すら行かないから分からなかった。

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