とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
「褒めても、酎ハイしかないよー」

「ううん。本当。可愛かったから、きっと小さな社会の中で、馬鹿な奴らに嫉妬されたんだよ。で、目立ったんだよ。ルールは守ってたのに」

「ふふ。昔すぎて忘れちゃった」

「……目立ちすぎても嫉妬されるなんて、嫌だ。こんなに、華怜は性格も」

すとん。

そんな音が聞えてきそうなほど、いきなり美里は眠りについた。

吐き出したかったこと、全部吐いてくれたならいいんだけど。

美里は優しすぎて、責任感が強すぎて、自分を責めすぎて心配だ。

確かに学生時代は学校の中の人間関係が重要だったし、社会人になって無理に嫌いな人たちと関わらなくて済むのは楽になったのかもしれないけど。

「ただいま~」

「一矢くん」

「靴あったから、やっぱ美里さんか」

カバンをテーブルの上に置いた後、ソファで眠っている美里に少し驚いていた。

「寝てるの? 帰らなきゃいけないなら送っていくけど」

「一矢くんに物申したくて待ってたんだよ」
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