とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
「行けないお詫びに、ウエディングネイル私にやらせて」

「ウエディングネイル?」

「ドレスにあったネイルしてあげる。付け爪にして、純白、カラー、色打掛の三つ作ってもいいよ」

 雑誌に載った自分のお店のページを開いて説明する。

 泣いていた美里は目の縁を拭いながら、そのページに興味を持ってくれたようだった。

 

「でもね、華怜」

「もー、まだその話、続けるの?」

 もうお腹いっぱいだよって笑いつつ、そういえばご飯を食べていなかったことに気づいた。

「美里はお腹空いてない? 朝作っておいたシチューがあるんだけど」

「華怜、お願い。真面目に聞いて」

 最初から真面目に聞いていましたよ、と言いたかったが黙った。

 結婚式前で美里からはピリピリした空気が感じられたから、刺激をしない方がいい。

「一矢くんは、華怜に会いたがってたよ。私が繋がってるのを知って驚いてた」

「……そう」

「華怜は、一矢くんのせいで男性恐怖症になったんでしょ。でもそれは私が悪かった。だから、華怜はもう男性を怖がる原因はないでしょ?」

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