とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
ペラペラな安い服より、生地もしっかりしているしデザインも拘っていたらブランド品で何が悪いのだろう。

人が泣くのを楽しむ人の思考が理解できない。

「……その話って何が面白いの?」

「一矢くんっ」

明らかに、焦った表情をしている。だが、聞かれて嫌な話を大声でする理由が分からない。彼女に聞こえるよう、攻撃をしていたのか自分の力を誇示したかったのか分からないが、共感もできない。

「俺も服は、好きなブランドしか着ないし。恐怖を与えて面白がる理由と君が得たものを教えてほしい」

「……ええ?」

「単純に理解できない君の思考回路が知りたいんだ。何が面白くて今の話をしていたのかなって」

 こちらは不快だったよというと、わああっと泣き出した。

 泣くぐらいなら、どうして雷で泣いた彼女の気持ちを理解してあげなかったんだろう。

「お前なあ、今のはやばいだろ」

泣いた彼女を連れて女子生徒が数人、教室から出て行く。

「なにが?」

 心配して声をかけてくれたのは、同じくクラス委員をしている麻琴だ。

 人当たりが良く、勤勉で会話していても頭の回転が速いので楽しい。

「今のは、彼女をかばったと思われる。お前じゃなくて彼女を攻撃対象にするんじゃないか」
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