とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
Side:南城一矢

嘘つきが三人いる。

この話は、一生彼女に聞かせず死ぬまで、それこそ墓の中に入っても、添い遂げられても黙っていた方がいいんじゃないかなって思った。

『あたしさあ、あの子、小学校の時に教室に閉じ込めたことがあんだよね』

下品に笑う女子が『あの子』と指さしたのは、クラス委員の美里さんと一緒に窓にもたれて笑っている女の子だった。

中一の入学式に、大人びていて物おじしないような落ち着いた姿に、一瞬目を奪われたのを覚えている。

が、全く男子と話さず、常に委員長と行動していて、誰にも心を許していない感じで近づきにくい。

そもそも近づくつもりはないんだけどでも、同じクラスなので普通に話がしてみたいと思ったんだ。

『えー、なにそれ? なんで』

『だって先生があのこばっか贔屓してたんだよ。むかつくんだよね、いいこぶって。そのくせ、服はいっつもブランド品』

『あー、ママも言ってた。あの子、いっつも高いワンピースばっか着てるって』

『美里を引き立て役みたいに隣においてさ、性格悪いよね』

彼女に聞こえても問題ないのか、教室内で彼女がいるにもかかわらず、下品な大声を上げて、気分は良くなかった。

『あの子、雷が駄目らしくて教室で美里を待ってるときに雷が鳴りだしてさあ、どうなるのかなって教室の電気消してドア押えたら、わんわん泣いて、超うけんの』

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