とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
今の外装は、落ち着いた和テイストの外見に、庭園にはアイキャッチとして鮮やかな植栽と季節を感じる木々。それらを診察台全てから一望できるとかで人気らしい。

「こんにちは」

日差しが待合室を照らし、明るく清潔な室内。

座る場所がいないぐらい、すでに患者さんが待っている。

休憩中とかもう少し時間を考えればよかった。これじゃあ母と会話するのさえ難しいかもしれない。

まあ騙されたお礼ぐらいは一言言っておこう。

「おはようございます」

受付のカウンターには若い女性が二人、奥でカルテを用意したり道具の準備をしている助手が数人、そしてパソコンの前で作業をしている母がいた。

 私の挨拶で、奥の母はすぐに気づいた。

「母と祖父がお世話になっております。近くを寄ったもので」

「まあ、ありがとうございます。院長をお呼びしましょうか」

「叔父さんも忙しいから大丈夫ですよ。では」

私と一矢くんの最近のお気に入りのケーキ屋さんのプリンとシュークリームを差し入れた。プリンだけにしようとしたが、意外と瓶のプリンって重いので半分はシュークリームにした。

「少し席を外すわ。予約患者だけ確認お願いするわね」

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