とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
びしょ濡れの姿で玄関に立っていたのは、この店の10年以上の常連客の古河さんだ。

近くで輸入雑貨のお店を経営している、白鳥さんと同じく年齢不詳の美魔女だ。

「古賀さん、大丈夫ですか? タオルお使いください」

「ありがとう。びしょ濡れで申し訳ないわ。白鳥は?」

「もうすぐ帰ってくると思います」

 予約の時間までまだ少しあるので、白鳥さんもまだ帰っていない状況だ。

 もし先に来たら、私が今日の予定を聞くよう頼まれていた。

「あー。じゃあ華怜ちゃんでいいわ。左手のパーツが取れちゃったからくっつけてほしいの。本当は新しいのにしようかなって思ったけど、濡れちゃったし後日にするわ」

 渡したタオルが、雑巾絞りで絞れそうなほど重たくなったので二枚目を渡す。

 その後、私が爪を修正している間、ドライヤーで髪や肩を乾かしてもらった。

「あの待合室に座ってるイケメンはお客さん? 業者?」

「あーっと、迷惑な押し売りです」

「へえ。あんなイケメンでもそんな仕事してるの。パトロンになっちゃおうかな」

< 24 / 205 >

この作品をシェア

pagetop