とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
『今日、どこかで食事でもしない?』

お昼の休憩中に、彼からそんなメールが届いていたので、朝ご飯の残りが入ったお弁当をつつく箸が止まる。

「なんで、貴方なんかと」と打とうとしたが、もしかしたらこの人と生涯ずっと偽装結婚しなくてはいけなくなるかもしれない。

それに朝、あんなスムージーごときで嬉しそうになった人を、無駄に傷つけるわけにはいかない。

こちらがいくら理不尽で、強制されて結婚させられようとしていても。

『すみません。今日は仕事仲間と飲みに行きます』

嘘ではない。それに男性恐怖症を克服したのかも気になる。

ただ話をして帰るだけ。

婚約している相手がいるが、気持ちはないので飲みに行くぐらい大丈夫なはず。

『そうか。残念。今度は俺に時間空けてくれると嬉しいな』

「うおおお」

「何? 誰のメッセージ?」

「いや、えっと親です。親」

次もまた誘うってアピールなのかなって思ったら、誘い慣れているなって思ってしまっただけだ。

いや、本当に女性に慣れてそう。

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