とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
20時になり、早めに帰宅することになった。

予約がない上に、白鳥さんが閉店まで居るので私たちにはさっさと帰りなさいと、朝言っていた飲み会に送り出してくれた。

丁度店を出て二階に美香さんが上がって中を見たら、ミーティング中だったらしい。

「先に行って何か適当に頼んで来ようよ」

「いいの?」

「大丈夫。ご飯決めるのでぐたぐたしたら時間勿体ないしね」

張り切ってはないき荒い美香さんから、いつもの倍以上の香水の甘ったるい香りがしてきた。

いつもより化粧が濃く、普段しない付け睫毛が月に届きそうなほど上にカールしている。

久し振りに天気を気にしないでいい、澄み渡った夜の空。

ぽっかり浮かぶ月を見ながら、美香さんが酔ったふり作戦について延々と語ってきていた。

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