極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
「龍司さん、信じてください。私が好きなのは龍司さんだけです。浮気心は一切ありません。他の男性に少しも興味はありませんから!」


頭を上げた一尾に、なにを言っているんだ?という目で見られ、龍司には、そんな疑いはかけていないと言いたげに眉を上げられた。

それに気づいた実乃里は、自分だけがおかしな焦り方をしていたのだと理解して、顔を耳まで火照らせる。


「そういうことじゃないんですね。すみません……」


一尾がブッと吹き出して笑い、龍司はため息をつく。

緊迫した空気が消えたので、実乃里の恥ずかしい慌て方も、役に立ったのではないだろうか。


「事務所に来るなと言ったが、なにか事情があったのだろうと思って聞いている。深夜に雨に打たれていたわけを、落ち着いて話すんだ」


龍司に低く静かな声で問われた実乃里は、今度は焦らずに、パン作りに熱中して終電を逃したところから順を追って説明した。

「なるほどな」と納得してくれた龍司に、一尾がお伺いを立てるように問う。


「若頭、そういう事情なんで、ひと晩泊めてやったら駄目ですか?」


「駄目だ」と即答され、実乃里の眉は下がる。

一尾には、足を洗わせて実家に帰そうとするような優しさを覗かせていたのに、自分には冷たいのかと実乃里は悲しく思った。

しかし、そうではないようだ。


「ここには機密書類や部外者に見せられないものが多数保管されている。万が一、それらが紛失するようなことがあれば、疑いが実乃里にいく可能性もあるだろう。泊めることはできない」

(そういう理由で泊めてくれないんだ。ちょっと嬉しいかも……)


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